勉強研究ことはじめ

レジュメの書き方

大学では、あるいは社会人になると、人前で発表することが増えます。そのときに用意するのがレジュメです。

レジュメとは

レジュメとは、発表者が、発表を聞く人へ配るメモのようなものです。発表者も自分のレジュメを見ながら発表します。

元々レジュメ(resume)とは、フランス語で「要約」「概要」の意味です。英語ではハンドアウト(handout)と呼ぶことが多いと思います。なお英語ではresumeが履歴書の意味で使われることもあります。レジュメを読みさえすれば、話のポイントが大体掴めるようになっているのが理想です。例えば本や論文の紹介であれば、レジュメだけで各章の内容や重点が把握できると好ましいでしょう。ゼミにおいては、発表者がきちんと発表の準備をしてきたという証明でもありますし、仮にどこか読み間違えていたとしたら、どこで間違えたかを調べる手がかりにもなります。

レジュメに必要な情報

場合にもよりますが、多くの場合以下が必要です。

  • 何のどこをまとめたレジュメなのか。著者名、書名、章題などを正確に書くこと。
  • 自分の名前、所属(あるいは学籍番号)、日付

以上を「ヘッダ」と呼び、これをレジュメの冒頭に載せます。

あとは、自分が必要だと思うことを列挙していけばよいでしょう。基本的には箇条書きで十分です。自分が発表する部分において重要と思われるポイントを抜き出し、それを大見出しとして、各ポイントの内容を中見出しから小見出しとして簡潔に説明するとよいでしょう。

読んでもよく分からないところ、疑問点、著者の意見に賛同できないところ等があれば、「ここが分からない」と(できれば理由もつけて)書いておくと、ゼミ等で議論がしやすくなります。どこの何がどうして分からないかが、自分だけではなく他の人にも分かるのがとても重要です。

なお、レジュメでは基本的に発表対象の内容を正確に書くのが重要です。例えば本であれば筆者の考えを(たとえ間違っているように思えても)忠実に書くことが重要で、自分の意見や感想とははっきり分けなければなりません。自分の考えは、最後に感想として明記した上で書き加えておくと良いでしょう。

レジュメを作るコツ

目次に注目する

レジュメを書く上で、特に書籍であればヒントとなるのが目次です。目次は筆者によるレジュメとも言えます。そこで、まず目次を書き抜いて、それに肉付けしていくと良いでしょう。論文であっても、見出しがある場合手がかりとなります。

レジュメは短く

レジュメはあくまで「概要」なので、レジュメがあまりにも長くなっては本末転倒です(もちろん、あまり短すぎても意味がありません)。A4 1~2枚程度の分量に収めるのがよいでしょう。

レジュメは「感想文」ではない

先にも書きましたが、慣れないうちは、どうしても筆者の主張の要約ではなく自分の感想を書いてしまうものです。レジュメを書く最大の目的は、筆者の主張の正確な概要・要約をつくることで、読み手であるあなたの主張や考え、感想ではありません。よって、明らかに筆者が間違っている場合でも、まずは筆者の主張の通りにまとめなければなりません。読み手の感想を(例えば最後にまとめて)書くのは構いませんが、それはレジュメの第一の目的ではないことに留意する必要があります。

レジュメは「抜粋」でもない

筆者の主張の正確な要約と書きましたが、別に筆者の文章をそのまま抜き出す必要はありません。文章は自分なりに書き直したり組み替えたりして構いません(むしろ好ましい)。ただし、主張の内容を変えてしまうような改変を行ってはなりません。なお、ある文章を同じ内容で自分なりに書き換えること(パラフレーズ)は、最も有効な勉強法の一つです。

発表対象の「言いたいこと」を抽出する

発表対象、あるいは筆者は、自説の主張、すなわち、何か言いたいことがあるから文章を書いていることが多いのです。それは多くの場合、

  • 新しい知見の紹介
  • 既存の説への反駁

という形をとります。

新しい知見の紹介というのは、ようするに「~に関して(新たに)こういうことが分かりました」ということであり、既存の説への反駁とは、「~に関して今までこう言われているが、私はそうは思いません」ということです。なので、レジュメでも発表対象の主張をきちんと明確に書くようにするとよいでしょう。

「私はそう思います」「私はそうは思いません」とただ持論を述べるだけでは他者への説得力がないので、まともな筆者であれば、自説を何らかの形で補強しようとします。そこで重要になるのが根拠です。

例えば、「蕎麦は優れた食べ物だ(と私は思う)」というだけでは単なる好みの問題ですが、

  • 蕎麦はカロリーが低い
  • 蕎麦は血圧を下げる
  • 蕎麦はガンを予防する

だから「蕎麦は優れた食べ物だ」、というのであれば、それなりに説得力のある自説になります。客観的に検証できる根拠があって初めて、前提を共有しない他者を論理的に説得することが出来、あるいはその主張の妥当性を巡って議論することもできます。もちろん根拠がおかしい場合もあるので、根拠自体にも根拠が必要です。

よってレジュメを書く上では、筆者の主張とそれを支える根拠の対応関係を探すとよいでしょう。なお、既存の説への反駁の場合まず既存の説を説明することもあるので、筆者自身の説との切り分けに注意しなければなりません。

目次や見出しを疑問形にして答えてみる

レジュメ作りに留まりませんが、文章を読むコツとして、目次や見出しを疑問形にしてその問いに自分が答えられるか考えてみると良いでしょう。例えば、「本書の目標」という章や節があったら、「『本書の目標』とは?」として、簡潔に説明できるか考えてみます。答えはその章の中にあるはずです。また、重要なキーワードとその説明も押さえておくとよいでしょう。

文章にする

Amazonなどいくつかの企業ではプレゼンの際、レジュメやスライドのような箇条書き的発表資料ではなく、きちんとしたひとまとまりの文章にすることが求められるそうです。これは一理あります。発表する際には、台本代わりに文章にしてみるのもよいでしょう。

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