勉強研究ことはじめ

レポートの書き方

高校までの印象から、「勉強」と言われると、先生に指定された本などを読み、書かれていることを暗記するという受け身のイメージがあるかもしれません。大学でもそのような勉強は必要ですが、レポートや卒業論文を書く際には、教員に紹介されたもの以外にも様々な文献を自分で積極的に探し、信頼性も含めて内容を自分で評価して、適切に参照しながら研究を進めていかなければなりません。大学を卒業した後も、就職して企画を立てたり報告書を書いたりする際には、自分で調べ、自分で考えて書く能力が重要となります。

文献には様々な種類があり、それぞれ信頼性が異なります。以下では、信頼性が高いと考えられるものから順に紹介していきます。もちろん、信頼性が高いと考えられる資料でも誤りを含むことはあるので注意が必要です。

学術論文

文献のうち最も信頼性が高いと考えられるのが、専門家によって書かれた学術論文です。大体日本語では1~2万字程度の分量で、本学の卒業論文も形式的にはこのカテゴリに含まれます。学術論文は大きく分けて2種類あります。

学術論文の種類

査読付き論文

ピアレビュー(査読、他の専門家によるチェック)を通った論文です。専門誌に掲載されます。最も信頼性が高いとされますが、専門家を対象として書かれたものなので、初学者には難解で読みにくいかもしれません。

その他論文

ピアレビューを(まだ)受けていない論文です。専門家によって書かれたものが多く、内容や形式も査読付き論文とほぼ同等ですが、第三者チェックを受けていないぶん査読付き論文に比べるとやや信頼性は劣ります。その代わり、最新の知見が反映されている可能性があります。大学の紀要論文、ディスカッション・ペーパー、プレプリントなどと呼ばれるものがこれに相当します。

学術論文の探し方

論文をオンラインで探す際には、専用の検索エンジンを使うと便利です。よく使われているものとしては、

などがあります。

学術論文は、誰でも無料で閲覧できる(オープンアクセス)場合もありますが、有料のものや、オンラインでは閲覧できない(PDF等で提供されていない)ものもあります。閲覧できないいが読みたいものがあった場合には、教員に相談してみてください。

報告書・白書

企業や官庁が毎年発行している資料です。ある分野に関してその年の動きを網羅的にまとめたもので、専門家が執筆していることも多く、学術論文ほどではありませんが信頼性は比較的高いと考えられます。

  • 白書の一覧
  • [国立国会図書館リサーチ・ナビの白書・年報ページ」(https://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/JGOV-hakusyo.php)

本(書籍)

本にも様々な種類があります。

本の種類

専門書

専門家が書いた本です。学術書と言われることもあります。書籍の中では最も信頼性が高いと考えられます。ある分野の専門家が、全く畑違いの分野の「専門書」を書いていることもありますが、そういったものは信頼できないことが多いので注意が必要です。

新書

あるトピックに関して、10万字程度でまとめた手頃な本です。自分がよく知らない分野について、とりあえず試しに一冊読んでみる、というときに最適です。

新書は専門家が書いていることもありますが、そうではないことも多く、信頼性にはばらつきがあります。

あたりは比較的信頼できるシリーズです。

ブルーバックス

新書の一種で、講談社から出ている新書判のシリーズです。科学的なトピックについて、専門家が高校生でも分かるように書いています。新書の中では比較的信頼性が高く、おすすめです。

文庫本

文庫は安価で手に入れやすい本です。信頼性の高いものから当てにならないものまで玉石混淆ですが、高価な専門書が年月を経て文庫入りすることもあります。

あたりは比較的信頼できるシリーズです。

厳密には文庫サイズではありませんが、

にも興味深い本が多くあります。

本の探し方

本の参考文献から探す

一番手軽で信頼できる本の探し方は、信頼できる本が巻末等に挙げている参考文献から芋づる式に辿ることです。「最初の一冊」については、

図書館

図書館を有効活用できるとものの見方が格段に広がります。冷暖房も効いていますし、とりあえず気軽に訪ねてみましょう。ちょっとした遠出がしたい場合、カフェが併設された武蔵野プレイスなどはちょうど良いでしょう。

メディアセンター

まずは大学メディアセンターに蔵書がないか調べてみましょう。メディアセンターのホームページから「蔵書検索(OPAC)」で検索できます。

他大学の図書館

他大学の図書館の蔵書は、CiNii Booksで検索することができます。他大学の蔵書は、現地に行くか、問い合わせると閲覧できることが多いです。

自治体の図書館

自治体も図書館を運営しています。例えば、飯能市立図書館のホームページから蔵書を検索することができます。自分が住んでいるところの近所に図書館がないか調べてみましょう。登録すれば無料で利用できるはずです。

また、現住所や通学先に隣接する自治体の図書館も利用できることが多い(例えば入間市在住なら飯能市の図書館も利用できる)ので、問い合わせてみましょう。

国立国会図書館

どうしても本が手に入らない場合、国立国会図書館に行くという手があります。日本で出版する書籍は、原則として国立国会図書館に納本することが義務づけられているので、少なくとも一冊は所蔵されている可能性が高いです。ただし、貸し出しは不可で現地で閲覧するのみです。国立国会図書館の蔵書はNDL ONLINEで検索することができます。

一括検索、その他

自治体の図書館や大学図書館の蔵書を、横断して一括検索したい場合には、カーリルを使うと便利です。国立国会図書館サーチも使えます。

そもそもどんな本を探したらよいかよく分からないという場合には、Webcat Plusの連想検索を使うと、適当なキーワードや漠然とした文章から検索することができます。

本の買い方

リアル書店

図書館もそうですが、リアル書店へ行くメリットの一つは、「他の本が(偶然)見つかる」ことです。特定の本を探していても、あるいは特に目的無く本棚を眺めていても、全く予想していなかった面白い本が見つかることがあります。定期的にリアル書店を覗いてみることをおすすめします。

ジュンク堂

西武池袋線沿線では、池袋のジュンク堂が日本最大の書店です。ジュンク堂は大泉学園にも支店があります。大学の近辺では、東飯能に丸善があります。他にも、最寄り駅の近くに本屋があるかもしれません。

TSUTAYA

最近所沢にTSUTAYA BOOKSTOREが出来ました。

ショッピングセンター

品揃えは今ひとつですが、学生会館の地下にあるショッピングセンターにも書店が併設されています。

ネット書店

Amazon.co.jp

今ではありとあらゆるものを売っていますが、Amazonは元々ネット書店としてスタートしました。電子書籍のAmazon Kindleも便利です。電子ペーパーを使った専用端末以外にも、スマホ等のKindleアプリで閲覧することができます。

honto

honto)は丸善・ジュンク堂・文教堂などが提携しているネット書店です。リアル店舗の在庫も分かるので便利です。

古本屋

古本は、一度人に手に渡った本です。新品に比べ安く買える、絶版(在庫切れでも新しく印刷されなくなること)の本でも見つかることがある、などのメリットがあります。

Amazon ユーズド

Amazonの商品にも中古が出品されていることがあります。

ブックオフ

ブックオフにも意外な掘り出し物があります。100円均一コーナーの本を全部買ってとにかく読んでみると面白いかもしれません。

日本の古本屋

日本の古本屋からは日本の古書店の在庫を検索することができます。

インターネット

ネット上にも様々な文献があります。

ネット上の情報源

個人のウェブページやブログ

ウェブページやブログは、多くの場合個人が書いているものです。信頼できるものもありますが、専門家ではないか、何かの専門家であっても専門外のことを気楽に書いていることが多いので、信頼性は低いとみなすのが安全です。卒業論文等で引用する際には、他の情報源との相互チェックをするなど最大限の注意が必要です。

ソーシャル・メディア

最近ではTwitterやInstagram、YouTubeなどが情報源として活用されていますが、意図的に、あるいは無意識に誤情報を流す人もいます。基本的に信頼性は低いと思っておいたほうがよいでしょう。

ウィキペディア

ウィキペディアは手頃な情報源ですが、専門家でなくても誰でも編集できるので、信頼性はかなり低いと言わざるを得ません。参照するのは構いませんが、卒業論文等で「論拠」として扱うのは控えてください。

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